平成27年度 安全衛生委員会主催の「講演会」
「大津波を生き抜いた子供たちに学ぶ危機管理論
  ~主体的に備える個人、そして企業であるために~
群馬大学大学院理工学府 教授 片田 敏孝 氏
<会場風景>
 2016年1月13日(水)刈谷市総合文化センターにおいて、協豊会安全衛生委員会の講演会を開催いたしました。
 講演は、災害社会工学のエキスパートとして名高い、群馬大学大学院理工学府 教授の片田敏孝先生をお招きして行なわれ、トヨタ自動車様を始め、栄豊会、協豊会会員各社から506名が参加をされました。
 開演に先立ち、協豊会安全衛生委員会 佐藤委員長は、「日頃から災害への危機意識をどう備えておくべきか、想定外の事態が発生した時、私たちはどう行動すべきかなど安全活動にも通じる題目と考えてこの機会を設定しました。企業トップ、安全に関わる者の心得、責任について知見を頂き、本日ご参会された皆さんの安全衛生活動の指針となるような考え方、仕組み、取り組みの参考にして頂きたい。」と述べられました。
<協豊会 安全衛生委員会 佐藤委員長>

<群馬大学大学院理工学府 片田教授>
  講演の中で、片田敏孝先生は題目の「大津波を生き抜いた子供たちに学ぶ危機管理論~主体的に備える個人、そして企業であるために~」について、一見すると安全と関係ないように思えますが、そこに関わる危機管理論、防災という分野でどのように向い合うのかと、労働安全について重大事故にどのように向い合うのかは、「安全文化や安全意識を高めるためのコミュニケーションのあり方についてはかなりの共通点がある。」とされ、防災から安全管理に対する姿勢の教育について語られました。
 翻って、協豊会での重大災害に目を向けてみると、最近は高止まりしており、国内災害しかも若い方が被災されています。また工事中や保全作業中等、日々の生産活動の中ではなくイレギュラーな状態の中で、若い人が被災されているように見受けられます。これは、安全対策を怠ってきた訳ではなく、むしろ安全システムを高度に構築してきた結果、生産システムの原理を理解せぬまま、何が危険であるか根本が解らなくなっているのではないか。災害が発生する都度、手順書やマニュアルを厚くし、故に自分で判断するのではなく、マニュアルに従うことが安全であると思い込んでしまっている。こうした、人為的に作られた安全の上では、ヒューマンファクターが脆弱になってしまうということを認識し、安全の本質を教えることが必要ではないかと提言されました。
 最後に、「災害の発生はマルチシナリオであり、どんな事象も発生しうる。マニュアルは基準としては有効と思うが偏りすぎてはいけない。改めて備えるということで、マニュアルを厚くする方向ではなく、何が重要なのかを、それぞれの企業で考えて欲しい。」と述べられました。
 講演会に出席頂いた皆様からのアンケートでは、多くの方から「大変有意義であった」、「防災や安全だけでなく色々な事に通じる内容だった」、「今後の自社活動に活用したい」とのお言葉を頂きました。
今回の講演が、参加された各社で有効に働き、重大災害が撲滅されることを祈念します。ご安全に!
<熱心に聴講される皆さん>

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