おじゃまします -協豊会 長谷川東海地区幹事に聞く-
 協豊会広報委員会は、9月27日(水)に株式会社メイドー本社(愛知県豊田市)において、長谷川代表取締役社長にインタビューを行いました。
 長谷川社長には会社概要、沿革、企業体質強化へのお取組みや、東海地区幹事として、協豊会活動へのお考えや思いなどのお話を伺いました。
■ 御社の会社概要、沿革についてお聞かせ下さい ■

 当社はトヨタ自動車さんを始めトヨタ関連メーカーさんへ、ハブボルト、エンジンボルトなどの高強度ボルトや各種自動車部品を納入しています。従業員数はメイド-単体で約1,000名です。創業は1924年(大正13年)、関東大震災の翌年でした。日本が震災で騒然としているときに創業したわけです。私の祖父が20歳の春に、当時、名古屋市内にありました小さな工場を買い取り、従業員5名での創業でした。買い取りと言いましたが、出世払いだったと聞いています。非常に若く、お金もない、世間の信用もない中で、よく挑戦したものだと思います。工場が名古屋市西区の明道町にありましたので、社名も地名からきています。今年の3月に放送された『LEADERSⅡ』では、当社をモデルにした会社が出ておりました。
 創業当時は祖父自身もボルト、ナット、ピン類を夜遅くまで加工し、納品の準備をして、朝早くから自転車でお得意先に納品をして廻ったと聞いています。
 トヨタさんとの取引は古く、1932年に豊田自動織機さんの協力工場となり、1938年にトヨタ自動車工業の協力工場となりました。

■ 企業体質強化のお取組みについてお聞かせ下さい ■

 企業体質を強化するには、従業員の技術・技能プラス意欲を含めた総合的な能力をいかに高めるかだと思います。そのためには、従業員に対する教育が重要だと考えています。振り返ってみますと、挑戦的な目標を掲げて継続的改善を全員参加のもとに進めたことで、企業の体質が強化され、併せて、従業員の教育にもつながったと思っています。当社は1992年にトヨタ品質管理賞優良賞を受賞しました。受賞する5年前から活動を始めました。トヨタさんの指導を受け、品質改善や原価改善といった観点から改善活動を行って、トヨタの役員さんの前で成果を発表して受賞しましたが、それが企業体質強化のスタートでした。その後、1998年にTPM優秀賞を受賞し、翌年にISO9002と翌々年に14001を取得、2010年にデミング賞実施賞を受賞、2013年にデミング賞大賞を受賞、そして昨年、TPM優秀継続賞を受賞し、今年、トヨタ品質管理優秀賞を6年連続で受賞することができました。そうした各賞への挑戦活動を地道に継続していくことを通じて、従業員教育を実施してきました。その結果、TQM、TPM、TPSが従業員に浸透し、企業体質の強化につながっていると思います。そして、各賞への挑戦活動の過程で、創意くふう提案制度、QCサークル活動、職場改善活動、職場横断的な改善活動も活性化しました。
 また、企業の体質強化につながる大事なものとしては、経営トップの経営思想と行動だと思います。私の場合は、今から17年前(1999年)に社長に就任しましたが、社長としての『7つの行動指針』を決めて、それに従って経営をしています。挑戦的な目標は、7つの行動指針のひとつである『ビジョンを明確にする』からきています。


■ 安全・品質・環境等についてお話しをお伺いします ■

≪安全≫
 「安全は作業の入り口」と元トヨタ自動車社長の豊田英二さんが言われたと聞いています。現場点検の時も安全という視点で現場を見るように心掛けています。月1回の頻度で「安全・5Sトップ点検」という仕組みをつくり、計画的に現場を見て、危険源や不安全行動に気がつけば、その場で注意したり自ら対策案を示すようにしています。

≪品質≫
 品質については以前から、「品質第一」、ということで取り組んでいましたが、なかなか効果が表れませんでした。しかし現在は、先程お話ししましたデミング賞への挑戦活動、いわゆるTQM活動を通じてかなり品質管理のレベルを上げてきました。具体的な活動としては「自工程完結」活動があります。当初、活動の進め方の基本をトヨタさんにご指導していただき、その後、当社の生産工程に合った活動方法に工夫して参りました。しかし、まだまだ流出不良ゼロにはなっていません。お客様にとって不良ゼロというのは当たり前のことで、たまたまゼロではダメだと思います。大事なのは、様々な活動を通じて、いかに高い品質レベルを維持・向上させているかだと思っています。また、トップ自ら品質第一を行動で示すことが大事だと思います。それは現場で事実を確認することです。言葉や文書だけでは不十分で、現場で自ら確認することが重要だと思っています。そしてそれは特別な活動ではなく継続的にやることが重要です。一過性の活動では、品質第一の風土は根付くことはないと思っています。新製品が立ち上がる、新入社員が入る、人の新陳代謝が進む、海外生産が急増するなど、品質にまつわる課題は山積しています。気を緩めることなく、愚直に進めていくことが必要だと思っています。社内で常に言っていることは、「製品の品質を高めるには、仕事の質を高めること」です。仕事の質を高めることで、品質、原価、納期、安全などがついてくると思います。

≪環境≫
 当社の主要設備は冷間鍛造機です。騒音防止が課題ですが、設備の防音対策だけではなく、新工場の場合、外壁は防音材を使用し、また、窓を減らし、天井、側面には吸音材を張り音が外に出ないよう工夫をしています。また、地道な活動ではありますが、生産の過程で発生する製品の落下音対策なども進めています。

≪人事評価について≫
 人事評価は会社経営にとりまして、社長の重要な仕事のひとつだと考えています。基本は従業員が納得できる評価、処遇を行うことだと思っています。勤続年数、学歴、年齢、性別、国籍に左右されることなく、能力、意欲、会社への貢献度を公正に評価し、賃金、賞与、昇格・昇進に反映させることが必要であると思います。現在では本部長が全て40歳代、3工場のうち、2つの工場の工場長が30歳代、また、日系ブラジル人の期間工出身の役職者も数人います。70歳をこえて働いている人もいます。 3つの海外事業体の社長は40歳代です。国の働き方改革で女性の活用がありますが、当社はまだ不十分で、課題のひとつだと思っています。環境の変化に対応して評価基準を見直していくことも必要です。人事評価は年に3回、上司が評価者になり、評価基準を元に直接部下と面談して評価しています。

≪従業員の経営の参画について≫
 従業員が経営に参画することによって、自立心や働き甲斐を高めることができると思います。これは単に従業員が会社の株主になるということではありません。創意工夫提案制度や改善活動に参画することによって、従業員の考える力や創造力を引き出すことで経営に参画させることだと広義にとらえています。さらに今期4月から従業員に経営者意識を持ってもらうために、京セラさんが確立された仕組みでありますアメ-バ経営を導入しました。


■ 協豊会幹事としてのお考え、メッセージをお願いします ■

 当初、協豊会は関東、東海、関西に分かれて活動をしていましたが、1999年4月に一元化されました。しかし、現在3地区に別れての活動が結構あるように思います。確かに場所柄や距離の問題もあり、分かれて活動する方がやりやすい場合もあることは理解していますが、個人的にはもう少し一元化を進められるのではないかと思っています。そうすれば幹事さんも今より少なくて済みますし、トヨタさんとのコミュニケーションやお話を聞く機会を今よりも増やすことができるのではないかと思っています。


■ ご趣味・座右の銘などお聞かせ下さい 

≪趣味≫
 趣味というほどではありませんが、幼い頃から機械や工業製品が好きで、よく色々なものをいじったり分解したりしていました。車も好きでして、一番の工業製品だと思っています。普通の人はアクセルを踏むとスピードや加速感の話をされますが、私は燃料タンクから燃料がエンジンに流れ、燃焼室内で爆発し、ピストンが動きクランクシャフトが回転して、といった風に考えてしまうタイプです。そうしたこともあり自動車に関わる製造業という仕事が天職だと思っています。
 ゴルフはやむを得ずという感じもありますが、最近は家内とよく一緒に回っています。

≪座右の銘≫
 「願えば叶う」です。裏返せば、願わなければ叶わないということでもあり、叶えるためには努力が必要だということです。
 例えば、デミング賞受賞やトヨタ品質管理優秀賞受賞など、目標を明確にすることによって、従業員の発言も随分変わってきました。NO.1になるためには何をしようとか、こういう改善をしようなど、そうした言葉が出てくるようになりました。私は社長として、ビジョンや目標を明確にして、従業員を引っ張っていくことが大事だと考えています。



本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
長谷川社長(中央右)を囲んで・・・
釣谷広報委員長 (パイオニア㈱ 顧問):中央左
  鈴木広報委員 (林テレンプ㈱ 常務取締役):右
  大村事務局長 :左

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