~名実ともに世界NO.1をめざして~

おじゃまします  ―協豊会 荒川関東地区幹事に聞くー

 

協豊会広報委員会は12月21日、株式会社ブリヂストン本社において、荒川関東地区幹事
(株式会社ブリヂストン社長)にインタビューを行いました。 
 ブリヂストンさんは、タイヤ・ゴム業界のリーディングカンパニーとして成長を続けられ、

グローバル企業として優れた成果を収められております。ご自身の信条として「ベストを尽くせば
必ず良い道が拓ける」を掲げておられ、沿革のお話から「中期計画とグローバル組織整備」による
グローバル経営等についてお話を伺いました。

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ブリヂストンさんの会社概要、沿革についてお聞かせください。

将来のモータリゼーションの発展を確信した創業者石橋正二郎は、1931年福岡県久留米市
に「ブリッヂストンタイヤ株式会社」を設立し、タイヤ製造、販売事業に着手しました。
ご承知かもしれませんが、社名の由来は創業者の姓「石橋」を英訳したものですが、直訳する
STONE BRIDGEとなる為、語呂が悪いので逆にして BRDIGE STONEに命名したものです。
1937
年本社を東京に移転し、1942年太平洋戦争に伴い、社名を「日本タイヤ株式会社」に変更
しました。

  戦後、1951年再び社名を「ブリヂストンタイヤ株式会社」に戻し、1953年には業界トップと
なりました。

1961年に株式上場し、1968年には社是「最高の品質で社会に貢献」を制定、同年「デミング
賞実施賞」を受賞しました。この年は私が入社した年であり、とても印象深いイベントであった
と記憶しております。
1984年コーポレートアイデンティティーを導入し、社名を現在の
「株式会社ブリヂストン」に変更しました。

1988年には米国第2位のタイヤメイカー「ファイアストン」社を買収子会社化する事により、
真のグローバル企業としての大きな一歩を踏み出しました。これが現在のブリヂストングループ
のユニークなハイブリット企業文化となったと思います。
2001年に制定した企業理念の
「ブリヂストン信条」の中に「使命」として「最高の品質で社会に貢献」を謳っておりますが、
これは先ほどのデミング賞受賞の
1968年に「社是」として定めていたものです。これを見ても分
かるように我々の経営には創業者の時代から脈々と受け継がれてきた思想が生きている、と言え
ると思います。

2008年度売上高は32344億円、生産拠点は現時点で世界26カ国192ヶ所です。
事業内容は全体の80%を占める主力商品である「タイヤ事業」と「多角化事業」で構成されてお
り、国内/海外比率は国内
25%、海外75%となっております。


買収したファイアストンとの融合のお取り組みについてお聞かせ下さい。

 まったく異なった企業文化を持った企業を、子会社として上手く融合させる事は並大抵の事では
ありませんでした。特にファイアストンは米国の名門企業ですから、彼等の文化・プライドに配慮
しながら徐々に融合を図ってまいりました。又、一方 国際企業として一歩も二歩も先を行ってい
た企業ですから、グローバル化・多民族社会での経営を学んだ面もあります。


ブリヂストンさんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。

当社の最終目標は「タイヤ会社、ゴム会社として名実共に世界一の地位の確立」を目指す事であ
ります。その為には、中長期的な観点からみた将来の「あるべき姿」をデザインし、その実現に向
けた体質づくりを推進する事が不可欠と考え「中期計画」を策定しました。グローバル・カンパニ
ーとしてあるべき組織の整備とこの「中計」が当社のグローバル経営のいわば「車の両輪」であると
考えています。

また「経営の基本方針」として4点を定め、グループ内で広く共有していますが、その基本方針
は第一に
「更に上を目指して、全ての製品、サービスで世界最高を目指す」事です。具体的には戦
略商品の拡大(
RFTUHP他)、環境対応商品・事業の取り組み、リトレッドを活用したソリュー
ション・ビジネスの展開、多角化事業領域最適化、
CSR体制構築/環境活動の強化等です。
第二に
「長期戦略を明確化し、事業領域の統合・拡大を推進する」事です。
第三に
世界各地の市場やお客様のニーズを感じ取り、スピーディーに、かつグループ・グローバル最適に
対応できる経営体質の実現を図るべく
「戦略的事業ユニット(SBU)制」を導入し、真のグローバ
ル企業を目指します。

第四に
「中期計画を核に、全体最適のグループ経営を目指す」事です。
当社の中期計画は現在の延長線上で目標を考えるのではなく、「あるべき姿」と「現状」のギャッ
プを認識し、この差を埋めるための「施策」をグループ内で合意していくことと、事業環境の変化を
取り込みながら毎年ローリングしていく、というところにその特徴があると思っています。

尚、これらの目標達成のベースとして、CSR全般のレベルの向上があることは言うまでもありませ
ん。特に「人材育成」については、急速なグローバル化に伴い、将来のグループ経営を支えうる人
材の継続的な創出を目指して中長期的な選抜・育成を実施しています。

また、2007年にはCSR推進総合委員会を、私自身が委員長を務めるCSRの最高意思決定機関として
立上げ、創業当時から変わらない社会に対する信頼と責任、つまり
CSRの基本姿勢を、社員一人ひ
とりがしっかりと心に留めて日々の業務に取り組んでいける様、より一層の浸透に努めております。


「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせください。

先ず「環境」についてお答えしますが、ブリヂストングループでは、あらゆる事業活動は地球資
源なくては成り立たず、世界中で事業展開する企業として率先して環境負荷の低減に取り組んでい
かなければならない、という認識を持っています。この認識に基づき、企業活動における「環境」
への配慮を経営の最重要課題の一つとして位置づけています。

 当社グループはタイヤ製造だけではなく、川上の原材料生産から川下の小売まで非常に長いサプラ
イチェーンを保有しています。この特徴を生かした事業活動を通して、社会に貢献していきたいと
考えています。特に地球環境問題では、タイヤのライフサイクル(原材料調達から廃棄・リサイク
ルまで)という視点で課題を捉え、各段階の環境負荷を考慮しながら活動しています。

タイヤのライフサイクルにおけるCO2排出の8割以上がその使用段階で発生する、という認識のも
とに、環境に配慮したタイヤの商品開発には力を入れており、地球温暖化防止については、転がり
抵抗をより低減したタイヤを展開しており、環境性能と安全性能を両立した高度な技術が評価され、
低燃費タイヤ「
ECOPIA EP100」が日本環境効率フォラム主催の「環境効率アワ-ド2009奨励賞」
を受賞しました。また、新品タイヤとリトレッドタイヤ、それにメンテナンスを組み合わせるソリ
ューション・ビジネスを展開しています。このビジネスにより、新品時から使用し溝が浅くなった
タイヤを再使用することが出来、また、併せてタイヤメンテナンスも行い、適正な空気圧を保つこ
とで、燃費向上にもつながります。このビジネスモデルである輸送事業者向けソリュ-ション・ビ
ジネス「エコバリュ-パック」が、エコプロダクツ大賞推進協議会主催の「第
6回エコプロダクツ
大賞エコサ-ビス部門経済産業大臣賞(大賞)」を受賞しました。

また多角化事業部門では太陽光発電用のモジュールに使用する封止膜であるEVAフィルムの生産
拡大や、省資源に貢献するとともに
IT社会への適合と言う意味からも非常に将来性があると考えて
いる電子ペーパーの事業拡大にも積極的に取り組んでおります。

当社グループは、こうした環境対応型のビジネスモデルを拡大することで、地球規模でのCO2排出
量の削減に取り組んでいきたいと考えています。

 私たちは地球温暖化問題の解決に向けても、「基本・原則」を常に意識しながら、当社グループの
強みを生かして取り組んでまいります。

次に「安全」についてですが、「安全」は言うまでもなく企業活動の重要な要素であり、基盤の
一つです。その中でブリヂストングループは「安全はすべてに優先する」を基本に、さまざまな取り
組みを推進しています。安全意識醸成や安全教育などマネジメント面を含めた各事業所・事業管理組
織で進める活動を基本に、法規制への対応や設備のリスク低減などグループで進めていくべき方向性
と取り組みを定めた「安全宣言」を展開・推進しています。

具体的には、労働災害防止活動においては、共通して取り組むべき課題と実施事項として
1.     各国の安全衛生に関する法律に即した対応が出来ているか、毎年内部チェックを実施する。
2.     設備リスクの低減活動を推進し、設備の本質安全化を図る。
3.     本社から発信される災害情報を活用し、再発防止の類似災害防止活動を推進する。
と定め、推進しております。
 また私を始めとする経営トップの本気度を現場にしっかりと示すとともに、現場の意見を経営トップ
自らが吸い上げていくことを目的として、「経営層による安全職場作り実践活動」を実施しており各
役員が精力的に現場を回り、そこで技能員と直接困りごとなどに関する意見交換をしております。私
自身今年は国内で
8工場回っておりますが、来年一杯までの間にグループ会社の主力工場を含めて20
箇以上を回りたいと思っております。

最後に「品質」についてですが、先程の「安全」と共に、企業活動における基盤となるものです。
当社のミッションは「最高の品質で社会に貢献」であり、その実現の為、品質活動のあるべき姿とし
て「グループ・グローバルで更に上の品質経営体質を常に目指し、商品・サービス品質は顧客の視点
からどの市場の、どのセグメントでも最高であることを目指す」と位置づけています。特に「あたり
まえ品質」の確保をベースに置き、さらに「魅力的品質」と言えるレベルの品質をお客様に提供する
ことにより、より広く社会に受け入れていただける価値の提供を目指しております。

関東地区幹事としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなど。 

自動車メーカーとサプライヤーは良きパートナーでなければ明日の発展はないというトヨタさんの
基本的な考え方がその活動の中で良く分かります。双方向のコミュニケーションを大切にし常にサプ
ライヤーを含めたグループ全体の体質強化を図るべく、まじめに徹底して相互研賛に取り組む活動は
他ではみられないことだと思っています。

異業種の方々との交流や「現地現物の実践」「ものづくりの理念」「トヨタWAY」「自工程完結」
など相互研賛ができ、参加することの意義は大きいと思っております。

 健康管理、ご趣味、ご信条についてお聞かせください。

健康に関しては、毎朝 妻とラジオ体操と家の近所を散歩するぐらいです。

趣味は絵画鑑賞とガーデニングです。絵画鑑賞に関連しますが、創業者の個人コレクションをベース
としたブリヂストン美術館がこの本社ビル内にありまして、規模は大きくはありませんが、質の良い
美術品が展示されております。東京に来られた際には是非 ご覧いただければと思います。

 信条は、「ベストを尽くせば 必ず良い道がける」です。これは良い道がけない、道はけた
が良い道で無いのは、ベストを尽くしきれていないからであると、自分自身の戒めの為に常に心がけて
おります。

本日お忙しいところ、ありがとうございました。



荒川社長(中央)と電子ペーパーの前で・・・
石塚広報委員長 (太平洋工業㈱取締役専務執行役員):左
鈴木事務局長 :右

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