「住友ゴム WAY」で更なる成長へ

おじゃまします  ―協豊会 三野関西地区代表副会長に聞く
  協豊会広報委員会は10月13日、住友ゴム工業株式会社 本社において、三野関西地区代表副会長(住友ゴム工業株式会社 会長)にインタビューを行いました。

住友ゴム工業さんは、2009年に創業100周年を迎えられ、日本初の自動車用タイヤを製造された歴史ある企業であり、グローバル企業として優れた成果を収められております。
今回は外資であった創業時からの沿革のお話しから、「住友ゴムWAY」制定を初めとした企業体質強化、安全・品質等への取組みを中心にお話しを伺いました。

 

◆ 住友ゴム工業さんの会社概要、沿革についてお聞かせください。

1909年に外資である英国ダンロップ社の日本支店として神戸の地に誕生し、日本初のタイヤ工場が造られました。
創業当時は人力車・自転車のタイヤを製造しておりましたが、1913年 日本第1号の自動車用タイヤの製造を始め、日本タイヤ事業の草分けとして今日に至っております。

 当社はスタートが英国資本の会社であり、戦前・戦後を通じて経営陣も英国人でこの間は社内公用語も英語でありました。
当時、英国ダンロップはタイヤの草分けの会社で、技術力・開発力が非常に高いものがあり、それを生かして日本でも順調にタイヤ事業を伸ばして来ました。
ただし、戦争当時は外資であった為、一時政府管理下に置かれ「中央ゴム工業(株)」に改称したこともありました。戦後に英国ダンロップ資本の会社に戻りましたが、その後親会社である英国ダンロップそのものの経営の行き詰まりにより、1963年に住友グループが資本を肩代わりし、社名も現在の住友ゴム工業に変わり、経営トップも住友グループから派遣され、企業として大きなターニングポイントとなりました。

住友グループの支援により厳しかった経営環境を建て直し、1980年代には元もとの親会社であった英国ダンロップの欧米タイヤ事業を逆に買収しました。この買収が1980年代のタイヤ業界の世界的再編のトリガーとなったと思っております。
 その後は順調にグローバル企業として発展して参りましたが、1995年の阪神大震災により主力工場であった神戸工場が倒壊により閉鎖のやむなきに至りました。
生産設備は他の工場に移管して事業の継続は出来ましたが、会社として大きな損失を出し犠牲を払いました。

 1999年に米国グッドイヤー社と全面的な業務提携を行い、欧米でのタイヤ事業及び日本でのグッドイヤーブランドのタイヤ事業を共同事業にすることを含めた、包括的なアライアンスを締結したことで、欧米事業を軌道に乗せることが出来、その後は順調に歩んでおります。
 国内では1980年代より資本・技術提携を行っていた当時日本シェア5位のオーツタイヤを2003年に合併し事業の統合を図り、企業規模として日本第2位の地位を確立しました。
その後、事業のグローバル化を推進し、特にアジアでは1997年にインドネシア、2004年に中国、2006年にタイに工場を建設しグローバル生産体制を構築してまいりました。

 当社はタイヤ事業以外にダンロップが元々ゴルフボール・テニスボールといったスポーツ事業を行っていた為、創業当時よりスポーツ事業を1つの柱にしてまいりました。
現在では、ゴルフ事業でゼクシオやスリクソンブランドを皆様にご愛顧いただいております。
事業の内訳では、連結ベースでタイヤ事業が85%、スポーツ事業が10%、産業品その他事業が5%といった構成になっております。

 この100年余り事業を継続して来れた事は、とてもハッピーであると同時にスタートが外資であった事、後半の半世紀を住友グループのカルチャーを得て事業展開出来たことが、会社としての大きな特徴であり、現在の基本精神として生きていると感じております。


  住友ゴム工業さんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。

 私は2005年に社長に就任しましたが、翌年の2006年に住友ゴム工業の長期成長ビジョン(2006~2015年)を策定しました。
このビジョンはタイヤ事業を中心としたグローバル企業として、さらに社会に価値を提供できる企業としてどう成長していくかをコンセプトに数値目標を設定すると共に、事業のあり方を策定したものです。

又、企業としてのコスト競争力が企業としての源泉でありますので、2006年に企業のコスト競争力強化活動である「ABC(Asian Best Cost)プロジェクト」をスタートさせました。
タイヤ事業を中心に世界No.1のコスト競争力を目標に、国内外の工場でのコスト競争力をつける為に、毎年の短期目標と中長期目標を定め、車の両輪のようにコストダウン活動を推進しております。
現下の円高等とても厳しい経営環境ですが、活動としては円滑に運営が出来て来たのではないかと思っております。

 2009年に創業100周年を迎えましたが、リーマンショック直後でありましたので事前には種々行事を企画しておりましたが、かなり絞った行事のみ実施致しました。その中で是非やりたかった企業体質強化を目的に、社員の求心力・モチベーションアップや方向性のベクトル合せの為に、「住友ゴムWAY」を制定しました。

制定に当り念頭にありましたのは当然「トヨタウェイ」でした。私自身トヨタさんの強さの源泉はトヨタウェイを全社的に浸透させ実践されている所に強み・凄みがあると思っております。
住友ゴムWAYの内容には100年の歴史の中でダンロップから培って来た技術の先進性、住友からの信用・確実性といったものを含めて大切な価値観・行動原則として掲げましたが、それをトヨタさんの様に作ったものを守り・育てて・継承して行く事を、徹してまいりたいと思っております。

社内的にはWAYを作ったのはスタートであり、これから実践していく事が大切だと言っております。会長に就任しまして、社長時代以上に社内を回りWAYの精神や期待している事を伝え、社内全体で盛り上げて行こうとしております。


  「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせください。

 安全につきましては、従業員の安全を守るのが企業経営の根幹であると考えております。
社長に就任した直後の2006年に、中国工場で下請の方の重大災害があり全社的にも安全成績が良くない状況であった為、「安全は全てに優先する」を再度社内に徹底させる思いで、全社の安全大会実施や協豊会活動で見学しました住友金属さんでの体感設備を参考にした、タイヤ工場としての「体感道場」をつくり、日常的教育を行ってまいりました。

安全活動は日常活動が1番大事でありますので、日々の点検・予知活動を行って来まして、全社的に意識の向上は図れたと思っておりますが、安全の目標はゼロ災ですから、まだまだ道半ばであり、トップが言い続ける事が1番大切な事だと思っております。

 品質についてはタイヤが主力の当社では、品質=安全でありお客様の安全を守る事が最重要であり、タイヤメーカーとして永遠の使命であります。
タイヤは自動車とは別のリコール制度もあり、品質はとても重いテーマであります。住友と社名を  変えた時から、QC中央委員会といった組織をつくりQCサークルを継続して行っております。
生産面では当然の事ながら、自工程完結、検査工程での流出防止が品質管理で大切であり、トヨタさんからもご指導を頂いて活動しております。

 環境は当社にとって今日的なテーマではなく、明治時代より考えてきたテーマで、当時は住友財閥の時代でしたが、銅山の煙害対策、植林事業を行ってまいりました。
今でこそCSR対応が株価に影響する時代ですが、それが問われない時代より住友グループは環境問題に対応する企業集団であったことは、大きな財産だと思っております。

 現在は地球環境に優しい企業活動を大前提として、特に生産活動に関わるゼロエミッション、CO2削減活動等に積極的に取り組んでいます。もう一方で タイヤ自体をいかに環境に優しい製品にしていくかが大きな課題であります。この問題は大きく2つの側面で捉えております。

1つはタイヤ自体が石油化学製品であり、普通のタイヤは約60%が石油依存材料で出来ています。これら有限資源を再生可能な石油外天然資源タイヤにするために2000年以降開発を進めており、現在は97%まで天然資源のタイヤ「エナセーブ97」を販売しております。さらに2013年販売を目標に100%天然資源のタイヤを開発しております。トヨタさんのハイブリットカーが最初は苦戦しても、その後世界の主流となった様に、この新しいコンセプトのタイヤが将来世界の主流となれる様、開発を推進してまいります。
もう1つは、業界を挙げて取組んでおりますタイヤの低燃費化です。車の燃費向上に関するタイヤの寄与度は大きいものがあり、自動車メーカーさんからの要求は厳しく、世界中で開発競争が激化しております。当社はスタートダッシュ良く開発面、市場シェアでも良いポジションを取れておりますが、このような技術は日進月歩ですので、更に燃費の良いタイヤを作ることが当社の使命だと思っており、これらの活動により環境に貢献できると信じております。


  関西地区代表副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなど。

私は協豊会活動に1999年より参加させていただいております。最初は住友電工のトヨタさん取引責任者の中部支社長として参加し、その後関西地区総務委員長も務めさせて頂き、とても有意義な体験をさせて頂きました。この12年でトヨタさん、協豊会のすばらしさを本当に教えていただいたと思っております。トヨタさんはサプライヤーに対して厳しい会社ですが、一生懸命にやる企業にはとても温かい、親切な会社だと思っております。

協豊会活動の中で、トヨタさんの考え方、協豊会メンバーとどの様に共存して行こうとしているのか、具体的に教えて頂けとても勉強になることが多く、メンバーとして活動していく事に大きな意義があると感じております。

今回 関西地区代表副会長という役目を頂き、是非協豊会が今まで以上に活動の場が広がっていくように、全力を尽くしたいとの思いで一杯です。


  ご信条、ご趣味についてお聞かせください。

 座右の銘は、「君子財を愛す、これを取るに道あり」です。これは私が、生き様や、トップとしての器量に心酔しております明治時代に住友本社2代目総理事であった伊庭貞剛さんが、座右の銘としていたものです。
企業活動をするに当り、正々堂々とやましさの無い活動が大切という意味で、私自身の戒めであり、会社としても正々堂々という精神を大切にしたいと思っております。
趣味としてはゴルフです。目標は、「さすがゼクシオをお使いになられて、良いゴルフをされますね」というゴルフに早く到達したいことです。


本日お忙しいところ、ありがとうございました。

 


三野会長(中央右)を囲んで・・・
石塚広報委員長 (太平洋工業㈱ 取締役専務執行役員):右
加藤広報副委員長 (㈱小糸製作所 常務取締役豊田支店長):中央左
本多事務局長  :左

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