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「Fーグリッド事業」による地域と一体となったスマートコミュニティの取組み
[トヨタ自動車東日本株式会社]
(HP寄稿通算回数)
 宮城県仙台市から北へ20数kmに位置する大衡村の「第二仙台北部中核工業団地」で、トヨタ自動車とトヨタ自動車東日本を始めとした工業団地内企業が中心となり、2013年2月「F-グリッド宮城・大衡有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)」を設立し、スマートコミュニティ事業を開始しており、その内容についてご紹介いたします。

 主な事業内容は、組合員への電力、熱(蒸気及び温水を含む)の供給であり、組合が保有する自家発電設備から作ったエネルギー(電力・熱)と、電力会社より購入した電力の制御及び最適化を図りながら、工業団地内へ効率的にエネルギー供給を行っています。  
 第二仙台北部中核工業団地  F-グリッドのエネルギーシステム
取組みの特徴
同事業組合では、東日本大震災以降のエネルギー危機への対応として、ガスエンジン・コージェネレーションシステム(以下、CGS)を活用し、地域と一体となったものづくりを進めるとともに、地域社会の「安全・安心・快適」な暮らしに貢献する取組を推進しています。
 ・  平時においては、CGSと太陽光によりつくったエネルギー(電力・熱)と電力会社より購入した電力を、CEMS(Community Energy Management System:地域エネルギーマネジメントシステム)により制御・最適化を図り、工業団地内組合員に安価かつ安定的に供給しています。
特にCGSから発生した熱は、自動車工場において蒸気として利用するだけでなく、隣接する㈱ベジ・ドリーム栗原の農場(野菜のパプリカを栽培)に温水として供給し、温室の暖房に利用することで農産物生産の環境負荷低減にも貢献しています。
自動車製造のノウハウを農業の生産性向上に活かすなど、農・商・工の課題を相互連携により解決し、農業振興に大規模な製造業が関わる新たな農商工連携モデルとして、先導的な取り組みも行っています。
 ・  非常時(系統電力が長期にわたる停電状態)においては、CGSで発電した電力で工業団地内の組合員が最低限必要とする電源を確保したうえで、余剰分を電力会社と連携して周辺地域へ供給することにより、地域のエネルギーセキュリティ向上にも貢献しています。
エネルギー供給側と需要側が協調して連携する本取組みは、国内初となります。
また、F-グリッド内の災害情報発信拠点では、太陽光発電、蓄電池、充放電機能付きPHV車両等を配備し、これらを連携しエネルギー自立を可能とすることで、地域への災害情報の提供等、早期の災害復旧に貢献いたします。
 
 ㈱ベジ・ドリーム栗原 大衡農場  非常時における地域との連携
取組みが評価
一般財団法人新エネルギー財団の令和2年度新エネ大賞(地域共生部門)を受賞しました。
工業団地内でのエネルギーの最適化や、災害時の地域防災拠点へ電力を供給する仕組みなどが、他地域への普及が期待できるものとして評価頂きました。


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