◆ 豊田鉄工さんの会社概要、沿革についてお聞かせ下さい。
昭和21年2月、トヨタ自動車工業、加藤鐵工所、挙母航空機部品製作所、三社の出資により、現在の豊田市に「挙母鐵工株式会社」として設立しました。
そういった点で、トヨタさんとは創業当初からの繋がりがあります。
昭和34年、社名を現在の「豊田鉄工株式会社」(とよだてっこう)へ変更しました。
その後、「豊田(とよだ)」と名前がつく多くの会社が読み方を“とよた”へ変更されましたが、当社は今でも“とよだ”の名前を残しています。
社名を変えなかった理由として「豊田家を尊敬し、“とよだ”の名前を残す会社が一つくらいあっても良いではないか」と先人から聞いています。
直近の会社概況として2009年度は、5月にテクノエイトがグループ入りし、増収増益となっています。
中長期計画では2015年を見据え、売上は現在の約50%UPとなる3,000億円を目指しています。
◆ 豊田鉄工さんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。
会社方針や中長期計画など、全社一丸となって取り組むべき目標はトップダウンで全従業員に展開していきます。明確な目標設定と情報の共有化ができれば、迅速な行動に移せます。
一昨年10月のリーマンショックでは、仕事量の都合で止む無く現場の人員を調整しました。
その際に、この難局を乗り越えるための各種プロジェクトを立ち上げることで、スタッフ部門の人数も調整し、原点に返り、現場応援もさせました。多能工になる面もありますし、現場でも「頑張らねば」との思いがあり、士気が高まったように感じます。スタッフ部門の現場応援は3ヶ月ごとにローテーションを行っており、その移られた社員を訪ねて現場に行き、コミュニケーションを図っております。
スタッフ部門に対しては、各個人の仕事や業務のたな卸しをさせ、それに掛かる工数を申告させました。それを原単位とし、最初は全て認めることから始めました。
自分で作った原単位を積み上げ、上司と本人が話し合いをしながら、その一つひとつの原単位を見直し修正していき、それを繰り返す。工数に対しての意識付けができ始め変わってきました。
スタッフ部門の仕事では、成果の指標は難しいのですが、能率が上がってきました。
スタッフ部門の工場応援により、スタッフ部門の仕事も量変動に応じて動かせるようになりました。台数で工数が決まり、売上や収益は逆算すると出てきます。原価低減、収益改善を図る上では、スタッフ部門も量変動に対応できることが重要です。
結果として、固定費を削減することができました。
新しいことをやる仕事においては、チャレンジ業務とし工数を与えます。目的を持った仕事を与え、がんじがらめにして動けなくならないようにすることが大切です。
また、営業部門や開発部門は、新製品開発などもありますから、人数は厚くして管理しています。
社長としての仕事は体制を整備することです。
昨年、7つのプロジェクトを作り、その1つが事務改善チームでした。スタッフ部門の仕事の原単位を作り、一人工を追求し、人の工数管理ができるようにしました。
そのチェックとフォローを行う体制が必要であり、現在は、業務改革推進室がそれにあたり、毎月計画と実績のチェックを行っています。
会社方針の展開状況も毎月進捗をチェックしています。チェックが入ると人間はやります。
自部門の成果が○△×評価ではっきりと出てきます。×でも駄目ばかり言わず、何故・何故・何故を繰り返し、真因を双方で共有し、再チャレンジしています。結果として、成果があがります。
企業体質の強化に奇策はありません。
人として「清く、正しく、美しく」、社会人としては「明るく、楽しく、元気良く」、トヨテツマンとしては「愚直に、地道に、徹底的に」が大切だと云い続けています。
今年1月、私たちの想いを『ザ・トヨテツ・マインド』という冊子に纏めました。
トヨテツのDNAを正確に伝え、共有し、グローバル企業として質・量の双方で成長して欲しいとの想いを込め、「愚直に、地道に、徹底的に」をベースに、お客様と安全と品質の「三つの第一」、「向上」、「人間性尊重」を三本柱としています。
英語版、中国版も作り、世界中に配っており、新入社員教育などにも使っています。
更なる浸透を目指し、現地でトルコ語やインドネシア語版も作成しています。
人材育成では、最も重要なのは、面談やコミュニケーションです。
人材育成は、上司と部下の話し合いだけでも良いと考えており、社内にも「とにかく会話をしなさい。コミュニケーションを取りなさい。心の中を見せなさい。心の中をみせてもらいなさい。」と伝えています。
心の見える化が大切であり、心が見えないのはコミュニケーションが取れていない証拠です。話すのが苦手な人には書かせれば良いのです。
人は好き嫌いから始まりますが、その相手に話しているということを理解してもらい、心をオープンにすればきっと響くものがあるはずです。
時間があると、よく社員と話すようにしています。社員も仕事以外のことなどもよく話しをしてくれます。お互いストレス解消になっていると自負しています。
体質強化は目標を理解させて、共有化して、実践で汗をかくと知恵が出ます。スポーツと一緒です。汗もかかなければ、強くはなりません。
働いている人のモチベーションをどのようにして上げていくかが、経営者の重要な仕事ではないでしょうか。その為には、舞台作り(雰囲気作り)が重要だと思います。
以前、全工場にクーラーを設置しました。当時海外の工場にはクーラーが設置されており、国内の工場にはありませんでした。今では工場でのクーラーは当たり前なのですが、今でもありがたいと思ってくれている人がたくさんいます。
確かにお金が掛かる面もありますが、少しでも気持ち良く働いてもらうために、不公平感をなくし、まずは環境づくりからが大切だと考えます。
現在、本社新社屋を建設中であり、来年竣工予定です。
ここから、第2創業期として、新たにスタートします。
◆ 「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせ下さい。
安全については、全会議にて会議主催部門が主幹となり、安全講話を行っています。
また、事故が起これば、世界中から即日情報が入る仕組みがあり、週報でも取り纏めています。週報では、各種報告項目の1つに安全もあり、その中で報告があがってきますので、自分自身で目を通しています。
海外では、毎日昼休み明けに、安全と品質について昼礼を行っています。
環境については、一人ひとり個人の環境宣言を行っています。
CO2削減目標値などは当然ありますが、まずは「とにかく周りに迷惑を掛けるな。とにかく省エネ、エコ!」と言っています。数値を言う前に基本だと思っています。
品質については、未然防止活動を行っていますが、現場では不具合が発生します。
各工場に安全・品質推進室を設置しており、安全品質に特化し、悪いラインには品質保証部や生産技術部を呼び、皆が一緒になり、徹底的に良くなるまで改善しています。
◆ 東海地区副会長としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなどお聞かせ下さい。
協豊会は、競争と協調の関係だと感じています。
良いものを作り上げていくために、各社がしのぎを削り競争し、レベルを向上させる。
良いところは皆で学び、横へ広げていく。
この関係と繋がりが重要であり、貴重なものだと思います。
また、長年に亘り、トヨタさんから頂くタイムリーな情報-特に、先を読んだ情報-は、協豊会各社が経営方針を策定する上で大変役立っております。
協豊会としては、「共存共栄」「切磋琢磨」の基本理念のもと、トヨタ殿と築いて来た「礎」「絆」を大切にしつつ、更に飛躍させて行く事が大切と思います。
◆ その他ご趣味・座右の銘についてお聞かせ下さい。
趣味ではありませんが、健康のため、毎朝1~1.5時間程度歩いています。
結構 何もせず、のんびりとしている時間が好きです。
座右の銘というほどではありませんが、「歳月不待人」という言葉が好きです。
時は人の都合にかまわず過ぎ去り、しばしも留まることがなく、思いついたら直ぐに実行に移すことの大切さを教えてくれます。
~今日できることは、明日まで延ばすな~
アナログかも知れませんが、人との会話やコミュニケーションが好きです。
人が好きであり、コミュニケーションを図ることは、人として最も大切なことだと感じています。
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