トップレベルの環境貢献企業を目指して

おじゃまします  ―協豊会 南雲関東地区幹事に聞く

 

 協豊会広報委員会は11月29日、横浜ゴム株式会社 本社において、南雲関東地区幹事(横浜ゴム株式会社 社長)にインタビューを行いました。

 横浜ゴムさんは、2017年に創業100周年を迎えられる歴史ある企業であり、グローバル企業としても優れた成果を収められております。

基本理念として「心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献します」を掲げておられ、今回は沿革のお話から創業100周年に向けた中長期計画、更には環境への取組み等を中心にお話を伺いました。



  横浜ゴムさんの会社概要、沿革についてお聞かせください。

 1917年、ゴム技術で世界の先端水準にあった米国からの技術を導入することで、自動車タイヤ、ベルト、ホースなどの国産化を図り、日本の工業近代化に貢献することを目的に、横濱電線製造㈱(現在の古河電気工業)と米国BFグッドリッチ社との共同出資により、「横濱護謨製造株式会社」として神奈川県横浜市に設立されました。

【創業の精神】1929年 中川末吉 当社取締役社長の訓話

1. メーカーは社会奉仕。人の生活を幸せにするため、良いモノを安く、そして便利なモノの提供を目的とすべきである。

2. 優れたモノの提供が根本方針。(他社の追従を許してはならない。)

3. 公平公正な経営。(経営者は資本家への保証、従業員への分配、そして消費者への義務を公平、合理的に分配することが任務である。)

4. 能率の向上。(機械を利用して従業員数を抑えること。)

5. 事業の成否は努力次第。(一生懸命勉強し、互いに向上発展をめざして努力すること。) 

現在創業から93年となり、2017年に100周年を迎えるにあたり、100年を目指して中長期経営計画を立案し、進めております。

1932年に我が国初のバルーンタイヤ販売を始めとして、1954年のチューブレスタイヤ、スノータイヤ、1971年の乗用車用スチールラジアル・チューブレスタイヤ「G..スペシャルスチール」等の我が国初となる、常に時代をリードする商品開発に取り組み、市場に投入してまいりました。

その間、1950年に株式を上場、1961年 現在の本社ビル(東京都新橋)完成、1963年には現在の「横浜ゴム株式会社」に社名を変更しました。1992年には「心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献します」を基本理念として制定し、同年 社内公募による「すごいをさりげなく」のスローガンを発表しました。

 2001年には独コンチネンタル社と戦略的提携で合意し、2002年には同社と合弁会社「ヨコハマコンチネンタルタイヤ㈱」を設立、新車メーカーさんとの取引窓口として稼動しております。

 会社の概要ですが、2009年度売上高は4,664億円、事業内容の構成は、主力商品である「タイヤ事業」が約80%、工業品などの「MB事業(マルチプル・ビジネス)」で約20%となっており、国内/海外比率は国内70%、海外30%となっております。

 タイヤ事業以外のMB事業ですが、主にパワステ・エアコンホース等のホース配管事業、ウインドシーラント等のシーリング剤関係のハマタイト事業などゴムから派生した商品が数多くあり、自動車メーカーさんにはタイヤ同様、ご採用頂いております。

その他に航空機のラバトリーモジュールやゴルフ用品のプロギアがあります。

  横浜ゴムさんの企業体質強化のお取り組みについてお聞かせ下さい。

タイヤ業界において当社は中堅レベルであると認識しており、長期的に1兆円企業を目指すべきだと思っております。企業として、利益とともに規模の拡大は必要であり、2005年に操業100周年に売上1兆円を目指した中長期経営企画「GD100(グランドデザイン100)」を策定しました。定量的目標として売上高1兆円、営業利益率10%を掲げて各事業毎にテーマ、事業戦略、財務目標を設定して活動しております。

更にGD100の基本方針として、トヨタさんからも言われております「良いモノを、安くタイムリーに」を1番目に、次に今の時代に必要な「トップレベルの環境貢献企業になります」、3番目に「高い倫理観を持ち、お客様最優先の企業風土を作り上げます」の3つを設定し、この基本方針に沿った施策を踏まえ経営を行っております。

 海外展開ですが、現在 国内60%、海外40%の生産比率を2017年までには国内外 半々の生産体制とすべく、今後は海外(特にロシア・タイ・中国・フィリッピン)での生産拡充を図っていく予定です。

 又、原材料についてですが、現在 天然ゴムの相場が上昇しており、先月も新聞に31年振りの高値との記事がありましたが、10数年前と比較し5倍近く上昇している状況です。

今後、更に中国を筆頭に、新興国での天然ゴムの需要増加が予想されておりますので、原材料を自社で確保していく取り組みとして、今年の5月よりタイに加工工場を稼動させております。

  「環境・安全・品質」などのお取り組みについてお聞かせください。

品質・安全についてはベーシックな部分として活動しており、環境については、先程述べましたGD100の中の重点的取り組みとして、タイヤ・MBを含めた全ての商品を2017年までに環境貢献商品とすべく、環境貢献商品の社内基準を定め、社内委員会を設置し、社内基準( ①地球温暖化防止、②資源再生・循環、③省資源、④安全・快適性 )に全て合致した商品化を進めております。

現在、全商品で75%、新規商品で100%に達しております。

又、生産拠点のエコ化についても、全社一丸となって取組んでおります。

世界では諸問題に対し、宗教問題等があり統一した取り組みが出来ていないが、環境だけは反対する国が一つも無い。この問題に真剣に取組まないと、企業として社会に認められない。

社内に対し環境対応は税金と同様に考え、取組むように指示をしています。

CSRも「Responsibility」を「責任」と訳さず「信頼」と言い換え、社会から信頼される企業である為の活動を行っております。

 また、環境の次の段階として企業が取り組むべき課題は、世界平和になっていくのではないかと考えております。難民等の問題にしても、企業として取組んでいかないと社会から認められなくなる時代がくると思っています。

 環境対応の一環として、国内外の横浜ゴムグループ会社の生産拠点に約50万本の植樹を行う「YOKOHAMA千年の杜」プロジェクトを進めており、本年6月までに国内7生産拠点、海外4生産拠点での植樹を行いました。

 又、ブラックイルミネーションと称して、週2回の定時退社日にビル全ての照明を消す活動をしております。総務がチェックし、実態をリストアップし私に報告が来る事になっており、悪い部署には私自ら部長に電話し、徹底させるようにしております。やはりトップ自ら言わないと前に進まない。

  関東地区幹事としての協豊会活動についてのお考え、メッセージなど。

協力会社との真のパートナーシップを目指し、双方向コミュニケーションを大切にされるトヨタさんのお考えが会活動を通じ良く伝わり、とても有意義に感じております。

また個人的にも経営者懇談会等で、各社のトップの皆様と出会い良い刺激になっており、とてもプラスになっていると感じております。今後もこのような活動は継続していく事が大切だと思います。

  健康管理、ご趣味、ご信条についてお聞かせください。

趣味と言えるのはゴルフぐらいしか有りません。そのゴルフで、今まで夢であったマスターズが開催されるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで、今年の3月にプレーすることが出来ました。これは今年の出来事の中でも私にとっては、トップクラスの出来事でした。(笑い)

趣味ではありませんが、2年前から社内ネットワークで社長ブログを始めております。これは写真・文書全て自分でやっておりまして、週に一度は更新し、メッセージをメインに、本の感想や全国の販売店巡回の模様並びに、協豊会活動等 自分が感じたものを掲載しております。

過去このブログで、私への意見・質問を書き込めるようにした所、閲覧できる人員3000人いるのも関わらず、10日で30人しか返信されず、又 ほぼ知っている社員達でありました。

やはり私のことを知らない社員は、社長に意見を言うのは難しいと思い、今年の4月より課長になる前の総合職の人員4500名全員と朝食・昼食時に8名づつ一緒に食事を取りながらの意見交換会を行っています。

 座右の銘は、「快が人を動かす」です。快とは快感であり、人の行動は快でしか動かない。ただ、人が何を快と感じ、何を不快と感じるか、常に相手を思いやることが、基本であると思っております。

本日お忙しいところ、ありがとうございました。



南雲社長(中央左)を囲んで・・・
石塚広報委員長 (太平洋工業㈱ 取締役専務執行役員):右
加藤広報委員 (㈱小糸製作所 取締役豊田支店長):左

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