おじゃまします ―協豊会 玉村関東地区副会長に聞く―
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協豊会広報委員会は8月7日(水)、日本発条㈱横浜本社において、玉村社長にインタビューを行いました。
会社概要、沿革、企業体質強化へのお取組みや、関東地区副会長として、協豊会活動へのお考えや思いなどのお話を伺いました。 |
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【会社概要、沿革についてお聞かせください】
《沿革》
当社は、土佐の出身で、日本の資本主義経済の勃興期に大きな足跡を残した鈴木商店におりました事実上の創業者である、坂本寿らが買収した「芝浦スプリング」からスタートし、1939年(昭和14年)に「日本発条」を設立、今年の9月で74周年を迎えます。
歴史を見てみますと、当時の日本国内の生産台数が、4輪車が3万4千5百台、3輪車が8千台で、2輪は別にして、4万2千5百台ほどの生産台数でした。
また、当社の売り上げを見ますと、当時はもちろん連結というのはありませんが、230万円でした。
操業当初から、トヨタさんにお世話になっている自動車用懸架ばね(当時は板ばね)を皮切りに、シート事業、精密事業で業容を拡大して参りましたが、自動車分野のみならず情報通信機器、産業機器などでも事業を展開しており、グローバルで高品質なものづくり・地球環境保全の推進に取り組んでいます。
《海外展開》
海外ですが、1963年(昭和38年)にタイに初めて出資、当時日本車も走っていまして、補修用のばねがかなり出ており、日本から輸出されていました。
現地へ出て、今でいう「地産地消」ということで、タイに出て行ったのが1963年、今年で50年になります。この次が1975年(昭和50年)にブラジル、5年後にスペイン、6年後にアメリカ、8年後にマレーシア、インド、中国等、海外には比較的積極的に進出しています。
ニッパツ本体の国内の生産拠点が11か所、関連会社は国内23社、海外が32社で、海外にも国内の関連会社(孫会社)が出ており、中国だけでも合わせて22社あります。
当社は、自動車業界がスタートですが、その他に情報産業にも携わっております。更に鉄道、医療器、スポーツなど裾野を広くやらせて頂いております。
海外進出に関しては、方向が二つあると思います。一つはローコスト、労務費の安価な地域へ進出する。もう一つは、市場・需要があるから進出するという考え方で、当社は後者です。
安いから出て行くわけでなく、そこに市場・需要があるから進出し、「現地の方と一緒に、現地に根ざして育てていく」という信念があります。
ですから、業績が悪くなったからと言って、撤退するというような思いで進出していませんし、それが成功の秘訣、成功の要因です。
先程も申しましたが、当社が海外に初めて出て行ったのが、50年前のタイで、このころの部品メーカーでは一番早かったと思います。当時の経営者が、需要があるタイに出て行って、タイで作ろうと決断したわけです。
《事業概要》
■国内生産拠点 11か所
■関連企業 国内23社 海外32社
■2014年3月期連結売上 5,700億円
■セグメント別の状況: 売上比率
■懸架ばね事業 19%
■シート事業 43%
■精密部品事業 24%
■産業機器他事業 14%
■連結従業員数 15,584名
【企業体質強化へのお取組みについて】
《企業の基本方針》
当社は、自動車関連事業と情報通信関連事業の二大事業構造の確立を経営主眼とし、自動車部品分野で長年培った「ばねの挙動解析」、「金属材料ノウハウ」、「金属加工技術」に、情報通信部品分野における「精密・微細加工技術」などの新しいコアコンピタンスを加えた、次世代技術を駆使し、自動車および情報通信分野へ、より多くのキーパーツを提供することにより、企業の永続と企業価値を最大化することを目標としています。
世界最適調達が今後もますます進むものと見込まれる自動車産業・情報通信産業において、顧客対応力に優れたグローバルサプライヤーとしての確固たる地位を築くと同時に、全てのステークホルダーの方々と良好な関係を維持できるよう努めています。
《13中計・13年度方針》
そういったことで、皆さんどこでもなさっていると思いますが、当社にも中期経営計画があります。当社は3年毎の中期経営計画を回しており、今年は3年前に策定した13中計の仕上げの年と言っています。
■13中計
《なくてはならないキーパーツをグローバルに展開し、お客様からNO.1と評価される
ニッパツグループを目指すための基盤づくりを行う3か年とする》
■各グローバルマーケットで、あるべきポジションを明確にし、着実な成長と安定した利益を
確保する。
■全グループの視点で、人財の能力を最大限発揮する仕組みを構築する。
■開発体制のグローバル最適化と「ものづくりの力」のグローバル化対応を強化する。
■事業活動をグローバルに支える、より効率的で高度な本社機能を実現する。
■ニッパツのビジネスモデルに即した、新事業創出活動を全部門で推進する。
■13年度方針-13中計総仕上げ
■グローバル事業の拡大
■国内事業の拡大
■ニッパツグループ経営力の強化
■CSR活動の継続的な推進
《グループ経営の強化・ニッパツウェイの制定》
私が最近言っているのは、ニッパツグループの結束力を上げようということです。グループ内で異業種を持っており、違う業界に窓口を持っていますので、グループの他の会社の商品を売り込むことができないか、異業種をやっているという点で、ビジネスチャンスもあるはずで、この2~3年急速に、グループ力の強化に取り組んでいます。
バリューチェーンというのは、そもそも市場調査から始まって、開発して、営業が売って、受注すると工場で作って、最後がアフターマーケットであります。
例えば、当社は、日発販売という商社を持っており、全国に拠点を持っております。彼らは商社ですから、営業というバリューが一番高いのですが、開発を持っておりません。
また、一方グループの会社の中には、開発と生産拠点はあるが、営業拠点がない会社もあり、グループ間のバリューチェーンを補完し合えば、まだまだビジネスチャンスはあると思っています。
グループ経営を進めていく上で、もうひとつ大事なことがあります。特に海外のグループ会社に対しては、経営トップも従業員も、みんながニッパツと同じように、「企業理念」を実践し、「魅力ある企業集団」を実現させて欲しいと思っています。
ニッパツは、まだまだこれから、グローバル化を進めてゆきますが、人という原資は限られています。ニッパツが、日本のカーメーカーさんからどういうところを信頼されているのか、それを海外の皆さんにわかってほしいという思いです。
企業環境がどんどん変わる中、ニッパツは、環境の変化に応じて、どんどん変わっていかなければならない、また、変えていかなければならないと思います。
しかし、一方では、変えてはいけないこともあり、変えてはいけないこと、これはまさにニッパツの風土でありニッパツらしさです。
こういったことをミックスし、グループ経営のありたい姿を実現する一環として、「ニッパツウェイ」を2013年1月に制定し、海外へ展開しています。
ニッパツの企業理念を、ニッパツグループが目指す姿として、グループで共有しています。
ニッパツグループの軸となる価値観を全世界の従業員で共有して実践し、グループ経営における一体感を高めていこうという狙いがあります。
■ニッパツウェイ
■高い視点と広い視野を持つ Grand vision
■革新と挑戦を続ける Innovation within innovation
■果敢に決断し迅速に行動する Speedy action
■決してあきらめない Never give up
■常に前進をやめない Progress day by day
■共に歩み共に栄える Relationship
《更なる発展への道 AandBの思考と行動》
もう一つは、ここに兎の絵があります。「2兎追うものは1兎も得ず」ということわざがありますが、「AorB」でなく、私は「AandB」の2兎追えと言っています。
今企業が成長していくには、国内は残念ながら市場が小さくなっていますから、どうしても海外に進出していかなければなりません。しかし、開発とか新技術の原点は、国内にある訳で、海外も国内も必要になってきます。
また自動車で言えば、新興国が増えてきてはいますが、まだ半分が先進国ですので、先進国も忘れるな、国内も海外も、新興国も先進国も両方やれ、2兎追えと言って、会社内にこのポスターを掲示しています。
海外拠点も各地域に多くありますが、私は日系のカーメーカーさんに認められている、ビジネス・仕事のやり方は、欧米のメーカーであろうが、現地であろうが、誰にでも通じる仕事のやり方だと思っています。
我々が守ってきた仕事のやり方を、早く現地の人に受け継いでいってほしいと思っています。
《AandB=2兎追え》
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玉村社長(中央右)を囲んで・・・
石塚広報委員長 |
(太平洋工業㈱ 取締役専務執行役員):中央左 |
高橋広報副委員長 |
(東洋ゴム工業㈱ 常務執行役員 直需営業本部長):右 |
小谷事務局長 |
:左 |
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協豊会タイム |